2008-2009 栃木県立美術館 ワークショップ報告

2021年2月20日土曜日

【2】アーカイブ

2008-2009 栃木県立美術館

栃木県立美術館が実施してきた、美術鑑賞教育に関わる催しについて、そのいくつかの概要を掲載します。主に、2009年度中に開催されたワークショップについての報告です。

企画展〈朝鮮王朝の絵画と日本〉関連企画 紙織画であそぼ!

日時◆2008(平成20)年11月8日(土)
  ◆1330分~1700

参加大人     6名
  子ども    2名
  合計     8名

講師島 一嘉(栃木県立美術館)
助言李 相炫(イ サンヒョン)氏

紙織画のワークショップを行いました!

紙織画

紙織画は、画面に縦の切込みを入れ、横から紙を織り込むので、
画面が平織り状になり、工芸的要素が強くなります。

◆注意点について

紙織画の場合、絵がチェック状になり、
見えない部分ができてしまうので、
細部が見えないと分かりにくくなる絵は
避けたほうがよいでしょう。


見えない部分ができてしまいます


◆テーマについて

十長生から選びましょう!

今回の企画展〈朝鮮王朝の絵画と日本〉に展示された『紙織画』には、
十長生(=シプチャンセン)と称する「日」「月」「山」「水」「石」「不老草」「松」「鶴」「亀」「鹿」という10種類の主題を描いた民画風のものが多いようです。

十長生は、幸福や長生きを象徴すると言われています。


◆使用する色について

五色(五方色)を使ってみましょう!

韓国は、古代中国発祥の自然哲学・陰陽五行説の影響を色濃く受け、
「青、赤、黄、白、黒」の五色(五方色)を自然界の基本色相とし、それぞれに、
「東・南・中央・西・北」、
「木・火・土・金・水」、
「春・夏・土用(長い夏)・秋・冬」
などの意味を与えています。

さらに、各色には、
「青=新生、創造、希望」
「赤= 情熱、愛情、生成」
「黄色=光明、生気」
「白=淡白、真実、純潔、死別」
「黒=暗闇」
といった意味もあるようです。


◆ワークショップの流れ【遊び方】について

1.展覧会場で『紙織画』の作品を見つけ、よく鑑賞する。

 
紙織画の鑑賞


2.次に、「十長生」の描かれている作品を見つけ、スケッチしてくる

「十長生」をスケッチ

3.さらに、五色の使われている作品を
見つけ、配色を調べる。



五色の使われている作品は?


4.1~3までを参考にして、9×cmの画用紙に8×cmの枠を作り、その中に絵を描き着色する

事前にきっちりと手順を確認して


5.
絵を縦に、2mm間隔で切り、
「縦糸」(=本当は紙)を作る。




道具の準備も万全


6.
別の画用紙を2mm間隔で切り、
「横糸」を作る。




紙で作った「横糸」


7.「縦糸」(絵を描いた紙)に白紙の「横糸」を織り込んでゆく。

「横糸」を織り込む


8.織り込みが終わったら、補筆する。



道具も使ってしっかりと織り込みましょう


9.表に7×cmの穴を開けた台紙に、両面テープで接着する。

台紙に固定して完成です


10.完成した作品を記念撮影する。

揃ったら記念撮影をして終了です




夏休み特別企画 〈ピンホール・カメラとの出会い〉

日時◆2009(平成21)年8月2日(日)
  ◆1300分~1600

参加大人     22
  子ども    31
  合計     53

講師大橋裕 氏(株式会社シャラン取締役社長)

1300分~  挨拶および担当者の紹介
        カメラの原理と写真の基本の解説
13
30分~   写真撮影
14
00分~   ピンホール・カメラの製作
16
00分    解散

ピンホール・カメラの原理を知り、撮影して、最後にカメラまで作ってしまう一石三鳥のお得なワークショップ。

小さなお子さんから大人の方まで大勢の方が参加してくれました。

大橋社長による説明


カメラキットの製作会社であるシャランの大橋社長の解説のあと、戸外で撮影会。

外で撮影会。どんな風に写るのかな?


すぐに現像し、初めて撮ったとは思えない(初めてだからこそ自然な?)幻想的で
素敵な作品が生まれました。

カメラ製作は意外とむずかしく、小学生はちょっと苦労していましたが、
スタッフの力も借りてねばり強く頑張り、みごと完成。

ピンホール・カメラ製作中……


この夏の思い出をピンホール・カメラにたくさん収めてくれるでしょう。




夏休みこども企画2〈100gをつくる〉

日時◆2009(平成21)年822日(土)
  ◆1330分~1530

 参加大人     7   
  子ども    7
  合計     14

講師タムラサトル 氏(アーティスト)

1330分~  挨拶および担当者の紹介
        Weight Sculptures (重さの彫刻)の説明  

        100g Toyの作り方の説明
13
50分~   100g Toyの制作
       作品の写真撮影
15
15分~   まとめ、解散

最初に、タムラサトルさんによる説明がありました。



「おもさをはかる+かたちをつくる =タムラサトル 芸術のかたち


芸術の表現には、絵画や彫刻・映像など、いろいろな方法がありますが、
100g Toyは、重さを調整することを形にしています。
100g Toyには、カラーブロックの重さを100g に調整していく楽しさ、
その100g のカラーブロックを自由に組んでいく楽しさがあります。
その2つを同時に楽しめれば、きっと自分らしい“100g Toy”ができるでしょう。
タムラサトル」



タムラサトルさんによる説明


カラーブロックの中から好きなパーツを選びます。

パーツの選択


組み立てる前に、重さを量ります。


パーツの計量

 ルールは一つ、ぴったり100gにすること。
ここでは、2g分を足しましょう。

パーツの組み立て


あとは自由! 思い思いの形に組み立てます。

〈参加者の皆さんの作品〉

完成した作品


完成したら、彫刻をはかりにのせて記念撮影をします。

記念撮影の準備

はかりの表示は100gを指しています。

作品と特製作品解説カード


なんと!タムラさんの直筆サイン入りの特製作品解説カードに写真を収め、
皆さん作品とともに持ち帰られました。



2回 親と子のための美術鑑賞教室

日時◆2009(平成21)年920日(日)
毎月第3日曜日は家庭の日

◆1400分~1455

参加家族     5
  人数     14

講師島 一嘉(栃木県立美術館)

1400分~  挨拶および担当者の紹介
       美術館での過ごし方のお話し
        キャプションの付け方などのお話し
14
15分~  常設展示室・コレクション展IIの概要説明
       「うそっこ望遠鏡」による発見鑑賞
14
30分~  おみくじによる鑑賞会
       「絵は見るのではなく、感じる」練習
14
55分   終了して、解散

親子で楽しく美術鑑賞!

今回は「コレクション展II」を開催中の1階常設展示室にて行ないました。

はじめに、美術館初体験のお子さんのために、美術館での過ごし方や
作品の側に付いている名札(=キャプション)についてお話ししました。

展示室では「うそっこ望遠鏡」を片手に日本画を鑑賞。

望遠鏡でのぞくと、細部までよく見えます

この望遠鏡、実はレンズのない ただの筒なのですが、のぞいてみると・・・
意外とよく見えるんです。

米粒大に描かれた登山者たち、 花の陰に隠れている蝶など、
普段なら見過ごしてしまうような所に 驚きの発見が!

視野を狭め、集中することで作品をより深くまで鑑賞できました。

お次は美術館特製おみくじ。
おみくじには「しあわせ」、「こわい」、 「かっこいい」などのキーワードが 書かれています。

同じ作品でも人によって、いろんな感じ方


それぞれ、当たった言葉からイメージする 作品を選んでもらい、最後に、みんなの前で理由も添えて発表。

絵を「見る」のではなく「感じる」練習、他の人の意見を聞き、共感する機会となりました。

参加者の皆さんには、最後に(株)ライオン様のご協力により参加賞が配られました。






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