昨年11月3日、栃木市立美術館がいよいよ開館し、同じく昨年4月に開館した向かいの文学館とあわせて、栃木の新たな文化ゾーンが誕生しました。栃木県美・武関がレポートいたします。
・「栃木市立美術館」とは?
栃木のアートシーンにご関心のある方は、栃木市の美術館として「とちぎ蔵の街美術館」を思い浮かべるかもしれません。令和3年に閉館した蔵の街美術館に代わり、新設されたのがこの栃木市立美術館です。浮世絵師・喜多川歌麿をはじめ、明治以降に活躍した清水登之、田中一村、刑部人、鈴木賢二らの絵画や二代飯塚鳳齋、飯塚琅玕斎らの竹工芸など、市ゆかりの作家たちを中心とした収蔵品は引き継がれています。
・「キックオフ・プロジェクト」
「とちぎの歴史・文化・芸術を、みんなで楽しみ・広め・創る拠点」をコンセプトとしている栃木市立美術館では、昨年11月の開館に先立ち、現代美術作家・タムラサトル(栃木高校出身)による市民参加型プログラムや、多数のワークショップを行ってきました。現在開催されているのは、そうしたプロジェクトをまとめて紹介する「キックオフ・プロジェクト成果展」です。
①
「1トンになる タムラサトル」
タムラサトルは、2003年よりデジタルはかりを用いた「Weight
Sculptures」というシリーズを制作しています。これは、彫刻に穴を開けたり、重りを載せたりして重さを操作して展示するものでした。このシリーズはやがて、作者自らの体重を調整する過程を記録した《100kg Man》(栃木県立美術館所蔵)という映像作品につながっていきます。
今回は、そのデジタルはかりをもって、作家自らが栃木市内6地域を巡りました。農家や芸能の集まり、スポーツのチーム、手仕事に携わる人々など、栃木市民たちが協力して1トンをめざすさまを、映像作品として記録しています。
展示室では、その6つの映像を一堂に映しています。この場所行ったことある!もしかしたらお友だちが映っているかも?なんて考えながらみることが出来るのも、地域の美術館ならでは。
また、美術館入口脇にあるワークショップスペース「つなてみち」では、開館記念に美術館・文学館ひろばで行われた「1トンになる」の様子も映し出されています。
②
とちぎを藍で染める
かつて栃木市の特産物だった藍をテーマに、数か月に及ぶ連続ワークショップが行われました。なんと、藍を種から育て、自ら育てた藍で様々な藍染を体験するというものです。國學院大學栃木短期大学の名取初穂先生を講師に迎え、全9回のワークショップが行われました。
展示室に入ると、天井に、壁に、展示ケースに、所狭しと藍染が並べられていて圧倒されます。藍染と言っても、その色はさまざま。ワークショップでは、摘みたての葉や、発酵させた染料、さらには大平特産の葡萄までを用いて、多種多様な藍染(草木染)の作品が制作されたことがわかります。作品と一緒に並ぶパネルには、参加した市民の皆様の笑顔が溢れていました。薄れゆく地域の文化をつないでいくためにも、こうしたワークショップは非常に重要な意味を持つことでしょう。
今回の展示は、なんと皆様無料でご覧いただけます!
ぜひこの機会に、「栃木市立美術館」に足を運んでみてはいかがでしょうか。
報告:あーとネットとちぎ月例会メンバー 武関彩瑛(栃木県立美術館)
詳細情報はこちら↓
キックオフ・プロジェクト成果展「1トンになる タムラサトル」「とちぎを藍で染める」
高精細複製画 喜多川歌麿「深川の雪」「品川の月」「吉原の花」展示
令和4年11月3日(木曜日)〜令和5年3月5日(日曜日)
【次回の展覧会】
開館記念展「明日につなぐ物語」
令和5年4月15日(土曜日)~6月18日(日曜日)
住所 〒328-0016 栃木県栃木市入舟町7-26
電話 0282-25-5300
開館時間9時30分〜17時00分(入館は16時30分まで)
休館日 月曜日(祝日の場合は翌日に振替)
祝日の翌日(土曜・日曜・祝日の場合は開館)
年末年始(12月29日〜1月3日)
アクセス
【電車】栃木駅(JR両毛線、東武日光線)下車、北口から徒歩約20分
【バス】栃木駅(北口)からふれあいバス「市街地循環線(西回り)」等で「藤沼酒店前」下車、徒歩約1分
【車】東北自動車道、栃木ICから約10分
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